外構工事・リフォーム費用は?不動産売却で節税するための取得費の話
不動産売却における税金計算では、「売却額」から「取得費や諸経費」を引いた譲渡所得が課税の対象になります。
取得費が大きければ、譲渡所得は小さくなり、納める税金も少なくなるということです。
そこで今回は、取得費に関する疑問にお答えします。どんな費用が取得費に含められるのか、金額の調べ方はどうなっているのか、そして領収書がないときにはどうすれば良いのか、まとめました。
譲渡所得はどのようにして計算する?
先に触れたように、不動産売却で譲渡所得があると、それに対して譲渡所得税(所得税や住民税)が課せられます。
節税・税金対策としては、譲渡所得税をいかに少なくできるかが重要です。
譲渡所得の計算式は、このようにシンプルです。しかし、何を取得費や譲渡費用に含むことができるのかでしょうか。
できるだけ多く計上したて、できるだけ納める金額を小さくしたいからこそ、「これはどっち?」と迷ってしまう項目が気になりますね。詳しくは後ほどご紹介します。
なお、譲渡所得に対する税率は、不動産の所有期間によって違います。
5年以下の短期所有では約39%、5年超の長期所有では約20%となることを押さえておきましょう。
譲渡所得の取得費に含むもの
さて、まずはよくある疑問の中でも譲渡所得に「含むもの」をご紹介します。
不動産の購入費用の他にも大きな金額のものがあります。多くの人が気になる3つの費用を中心に確認していきましょう。
リフォーム費用は取得費に含む
不動産を購入したあとに施したリフォーム・リノベーションは取得費に含むことができます。場合によっては数百万円にも及ぶので、忘れずに計上しなくてはいけません。
リフォーム・リノベについては注意したい点が2つあります。まずは、購入前、つまり前の所有者によって行われたリフォーム等は対象外だということです。自分が購入したあとなら売却の直前までどの時期に行っても取得費に計上可能ですが、リフォーム済み物件を購入しても分けて計算はしませんので、気をつけましょう。
また、軽微な修繕についても計上ができません。例えば、一部の壁紙を張り替えただけではリフォームとは言いません。リフォーム=改良とみなされる変更になりますので、適宜確認するようにしましょう。
外構工事の費用は取得費に含む
まずは外構工事の説明ですが、外構(建物の外部)の工事のことを指しています。舗装や排水周りの工事が該当し、建物本体ではないところに行われる工事です。
リフォーム同様に設備に関わるような大きな費用であれば、取得費に含むことができます。簡易的に設置する設備などは取得費になりませんので、こちらも都度、確認してみるといいでしょう。
住宅ローンに関するものでも取得費に
住宅ローンの金利や事務手数料、保証料なども取得費にできるものがあります。ローンに関しては支払いスケジュールによって状況も変わりますが、累計するとある程度の金額になります。
契約書や領収書が証明に使えますので、控えておくといいでしょう。
不動産取得費の調べ方
不動産の取得費はどのように調べられるのでしょうか。
契約書に記載された内容を確認する
取得費用が掲載された契約書が必要です。重要書類ですので、売買契約書をはじめとする各種契約書は捨てずに保管しておきましょう。
領収書などの書類を集計する
領収書や請求書、その他書類を集めて調べることになります。
保管は自分や家族に委ねられている部分が大きく、外部にまとめて保管されていることはありません。不動産の所有期間は長期になるので管理は大変ですが、設備費や改良費用などが生じた場合には、その都度保管しておきましょう。
不動産会社に聞いてみる
譲渡所得における取得費など、不動産のことで迷ったら不動産会社への相談がおすすめです。
これから売却するなら、譲渡所得税の計算に関しても相談できるため、親身になってくれる不動産会社を探してみるといいでしょう。
譲渡所得の計算で取得費がわからないときは?
書類をなくしてしまったり相続した不動産で費用を把握できなかったりすると、譲渡所得の取得費を計算できません。そんな時の対処法をご紹介します。
取得費が不明なケースとは?
不動産の購入時期が極端に古い場合には、取得費の計算が困難です。書類がなく、自分自身も何にどんな費用が発生したのか把握できていないことがあります。
また、相続した不動産などでは、元々何にいくら使ったのか、事前に聞いておかなければ確認することができません。
このようなケースでは取得費の算出できないことさえあります。
概算取得費を取得費とする
そこで、取得費がわからない時のために、概算取得費というものが決められています。
例)2000万円で売却できた物件の取得費が不明の時、
2000万 × 5% = 100万円
取得費は100万円として計上することができます。
また、仮に取得費が5%未満で計算される場合には概算取得費を使って計上することも原則的には可能になっています。
金額が不明な時のために用意されている制度ですが、覚えておくと取得費を圧縮できるかもしれません。
土地と建物で別々に計算する概算取得費
概算取得費は、土地と建物で別々に適用することもあります。
例えば、土地の取得費は不明だけど、建物の取得費は判明しているケースでは、一括で5%で計算してしまうと、建物の取得費はそれを上回っていて損してしまいます。そこで、土地部分は売却額の5%で取得費を計上し、建物は実際の取得額で計算し、納税額を小さくします。
計算は複雑になりますが、一括りに概算取得費で計算するよりも高い金額を計上できるので、覚えておくと良いでしょう。
取得費加算できる相続税
相続税について、取得費に加算できるという特例があります。特例というだけあって原則的には加算できないものなので、その特徴や適用できる条件を見ていきましょう。
取得費加算の特例
不動産を相続した後、定められた期間内に物件を譲渡することで、相続税の一部を取得費に加えることができるというものになります。
適用されるには?
特例を適用するには、相続した本人であること・相続税が課せられていること・3年以内の譲渡であること、の3つになります。すべてを満たして初めて適用されるので、気をつけましょう。
相続税と贈与税の違いは?
「相続税に関する特例」は贈与税にも適用できるのでしょうか。
相続税と贈与税は似ているので、違いを確認しておきましょう。
相続と贈与は、単純に試算を渡す人が生きているかどうかが異なり、税法上は全く異なる行為として扱われます。
控除の内容についても、贈与税については、年間110万まで適用できる基礎控除が一般的です。一方で相続税については、一度きりの納税となるため4,800万の基礎控除が設定されています。
取得費加算の対象となるのは、相続税ですので、確認しておきましょう。