あなたの不動産高く売れます。不動産売却チラシに潜む嘘と本当
マンションに住んでいると、
「あなたの不動産売りませんか?」
「お持ちの不動産が高く売れますよ!」
というようなチラシが投函されることがあると思います。
不動産の買い替えや売却を検討している方にとって目を引く言葉ですが、はたして本当のことが書かれているのでしょうか。
ここでは、不動産売却に関わる「チラシ(DM・ポスティング)」の種類や真偽についてご紹介します。すでにチラシを受け取っていて、不動産会社への連絡を検討している方も、ぜひ参考にしてください。
不動産チラシには3種類ある
不動産会社が投函するチラシですが、一括りにチラシと呼ばれますが、実は3つのパターンがあります。
購入チラシと賃貸チラシ
まずはイメージのしやすい、物件の購入や賃貸を促すチラシです。
不動産会社はおすすめの物件情報を掲載したチラシを作成し、ポスティングによって買い手や借り手を探します。現在はインターネットから物件を探すことの方が圧倒的に多くなり、あまり見かけなくなったという方も多いでしょう。
売却物件募集チラシ(求むチラシ・探していますチラシ)
「売却希望者募集!」という単に売り手を探しているチラシや「〇〇(自分の物件の条件)な物件を求めている人がいます!」のように、すでに買い手がいるかのような謳い文句が書かれたチラシを見たことはありませんか。
内容に対して疑問に思う方も多いことでしょう。求むチラシとも呼ばれるチラシで、特に「すでに欲しがっている人がいる」ように見えるチラシには要注意です。詳しくは後述します。
不動産買取チラシ
「不動産会社による買取」を案内したチラシです。一般的に不動産買取は、仲介業者が第三者(買い手)を見つける場合と比べて、不動産会社が直接買い取るので金額が安くなる傾向にあります。
不動産売却と不動産買取の違いについては下記をご参照ください。
どっちがいい?業者に売る「不動産買取」と仲介で第三者に売る「不動産売却」
以上が3種類の不動産チラシです。まずはご自身の手元にあるチラシがどういった種類のものなのか、確認してみましょう。
売却物件募集チラシの嘘と本当
不動産売却のチラシを見たら、「都合のいいことが書かれすぎている」という印象をお持ちになるでしょう。
高額な売却価格であったり調子のいい見出しであったり、たしかに、疑わしいチラシがたくさんあります。ということで、不動産売却チラシには嘘は無いのか考察していきます。
不動産売却チラシに記載できる内容とは?
チラシに記載できる内容は、宅地建物取引業法などいくつかの法律で限定されています。以下、広告に記載してはいけない原則を4つにまとめました。
- 虚偽表示
- 「今後便利になるよ」のような希望的観測
- 誤解を招くような表現
- 建築中の変更
閲覧者が気をつけても「回避できないもの」は原則として禁止されています。
ここに記載のあるような、あからさまな違反をする業者はあまりありません。しかし、どんなルールにも共通していることですが、いわゆるグレーゾーンがあります。
チラシ内における誇大表示
一番気をつけなくては行けないのは、上記原則に反しているとは言い切れない「誇大広告」です。
実際、先ほどの例にあったような「〇〇な購入希望者がいます」は、事実関係を突き止めにくい内容です。こういった事実が検証できない、見極めが必要なチラシについては、必ずしも嘘やルール違反であるとは言えません。
簡単に見抜くためのポイントをご紹介します。
言い切りすぎていないか
「必ず〇万円で売却できます!」のような謳い文句は信用できません。
不動産売却では、不動産会社に仲介を依頼すると、物件の「売り出し価格」を設定して売却活動を行います。そして買い手がつくと金額の交渉に移り、実際の売却価格が決定していくという流れになります。
査定をしてみれば、チラシに記載の金額通りになることは稀なはずです。場合によっては、100万円以上低い金額が提示されることもあるといいます。必ず~、絶対~、のような言い切り表現のあるチラシには注意しましょう。
期間限定情報ではないか
「今なら購入希望者がいます」のような、期限について記載がある場合は注意が必要です。現時点は居なかったり掲載された情報が古かったり、現実とはかけ離れているケースも多いからです。急かすような表現や、期間限定といった表記には注意しましょう。
売却物件募集チラシが投函される理由
ポスティングにはコストが掛かります。それでも未だに用いられているのは、有効な宣伝手段だからです。チラシを送付した後の不動産会社の狙いを、いくつかご紹介します。
そこが売りやすい物件だから
チラシが入った物件は、不動産会社にとって「売りやすい物件」と考えることができます。つまり、本当にニーズがあって、買い手がすぐに見つかるということです。
そもそも、チラシを投函している不動産会社は売買仲介によって利益をあげているため、基本的に売れない物件にはチラシを入れません。不動産が高く売れるかもしれないので、本格的に売却を検討していない人でも、査定をしてもらいましょう。
媒介契約をとるため
不動産会社がチラシを撒くのは、問い合わせの件数を確保するためです。
必ずしもその物件に対して興味を持ってポスティングしているわけではなく、高収益が見込める人気エリアを絞り、重点的に売り物件を募っていることもあります。
ちなみに、「買い手がいます」という文言をみて問い合わせても、そういった人は存在しないことがあります。この場合は、媒介契約をしても、実際はそのタイミングから物件の売却活動を始めていることが考えられます。
また、売却物件募集チラシを撒いたあと、自社で買い手までを見つけることを意識している場合があります。媒介契約を結んだ後、いわゆる両手仲介を成功させれば買い手からも仲介手数料を手にすることができるので、一つの物件でより多くの儲け手に入るからです。
「仲介手数料無料」という宣伝費
手数料を無料や半分にして、売り主(物件)を集めるという宣伝方法があります。仲介手数料は意外と高額になるため、たしかに魅力的な宣伝です。
ただし、このような宣伝にはきちんと理由があります。しっかりと理解した上で見極めた方がいいでしょう。
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仲介手数料無料のからくり。不動産売却のリアルな話と無料のデメリット
また、不動産買取では業者がそのまま買い取ることになるので、当然「仲介」手数料は発生しません。これを謳い文句とするケースもあるでしょう。