新築で家を買ったら転勤という不条理。売るか貸すか、正しい向き合い方とは?
「家を買ったら飛ばされた」という話を聞くことがあります。あまりにひどい話ですが、意外とよくある話なのだとか。
もし自分が直面したら、不動産を売るべきなのでしょうか?それとも、売っても住宅ローンが残るから、賃貸に出すべきなのでしょうか?
ここでは、転勤が決まったせいで新築物件や買ったばかりの中古物件に住めなくなった方へ、解決のための選択肢をご紹介します。まだ辞令はないけど転勤が心配だという方も、万一の時に混乱しないために、どんな方法があって、どのように対処すればいいのか、確認しましょう。
マイホーム購入後に転勤辞令がでやすい理由
物件購入直後の転勤辞令とあれば、タイミングの悪さに会社の嫌がらせを疑ってしまいそうになります。まずは、新しい家を買った直後に辞令がでる理由についての考察をしてみました。それぞれ勤務先の事情があると思うので、参考程度にお読みいただければと思います。
マイホーム購入も転勤辞令も、30代~40代に多い
平成30年度の住宅経済関連データでは、不動産の購入は30代後半から40代が最も多いことがわかります。この世代は、経済的に余裕がでてきて、子育てや親の介護を見据えて賃貸から持ち家に切り替えているようです。
同様に、会社の役職者や管理職になっている年齢を調べると40代が最も多いことがわかります。
マイホームを買う時期と、キャリアアップ(転勤)が重なっていることが多いと考えることができます。
つまり会社が意地悪をしているというよりも、仕事においても私生活においても順調であるがゆえに、時期が重なってしまうと考えていいかもしれません。
転勤のある人はあらかじめ準備しておくべき?
転勤族はもちろん、転勤の可能性がある会社に勤務している人は不動産を購入する前に準備をしておく必要があります。人生におけるイベントと、会社の出世などはリンクしていることも多々あります。転勤があるからマイホームを買えない、なんてことはありませんので、この後紹介する「買った後の対策」について参考にしてみてください。
転勤の可能性があってもマイホームは買うべき?
転勤のリスクがあっても、賃貸のまま生活することに不安がある方は不動産を購入しているようです。住宅補助などの会社の制度を使える場合は構いませんが、住宅ローンの問題も、早期に完済できる計画をしておくことでこれからの高齢化社会に備えようとしている人も少なくありません。
したがって、転勤の可能性があってマイホームを買うのも一つの選択肢だと思います。「買った後の対策」を備えて最善の選択をしましょう。
買ってすぐに転勤したら売却するか賃貸するか
さて買った直後に辞令がでてしまった時に取れる主な手段として、不動産を売却する方法と賃貸する方法があります。それぞれの要点を押さえて、各ご家庭の事情にあわせて手を打っていきましょう。
購入した新築物件を売却する
最もシンプルな選択が不動産売却です。
やはり夫婦で一緒に住みたいとか、せっかくの新築に住めないなら意味がないなどと思う人は多いと思います。そこで重要なポイントは、住宅ローンもあるので、いかに高く売却できるかということになります。
高く不動産を売る方法については、次で詳しくご紹介します。
複数の会社に不動産査定を依頼
築浅の物件なので比較的高くスムーズに売却できるとは思いますが、不動産売却は複数の会社に見積もりをもらうのが鉄則になります。
複数の会社に査定をしてもらうと、各社の査定額には数百万ものズレが生じる可能性があります。また担当者の「売ることへの温度感」も比べることができます。
不動産の一括査定サイト
当サイトは一括査定の活用を推奨しています。不動産会社の比較ができるだけでなく、物件情報をいれるだけでその家を得意としている不動産会社とマッチングできるので、とても魅力的です。
購入した新築物件を賃貸する(リロケーション)
今は離れてしまうけど、また住みたいという人もいると思います。
そんなときは、買った家を賃貸に出すこともできます。家を買ってすぐに転勤となったとき、また住むからと持っていても住宅ローンは引き続き発生します。引越し先で家を借りるなら、その分の賃料も重ねて支払います。
もし家を貸すことができれば、家賃収入もはいるのでその分の負担を軽減しながら、保有し続けることが可能になります。赴任期間が決まっているなら、定期借家という期限を決めた貸し方もできるので、不動産会社に相談してみるといいでしょう。
ただし、賃貸に出すデメリットもあります。
まずは例えば新築で買った物件が、自分が住み直すときには新築ではありません。古くなったことは“新築”に価値を見出していた人には大きなマイナスポイントになりますので、最初に考慮しておきましょう。
また、借り手が計画どおりにつくとは限りません。物件の種類にもよりますが、そういったリスクもきちんと把握しておくことが必要です。※マンションと戸建てでも扱いは変わるので後ほど詳しく紹介します。
不動産の扱いに不慣れだからこそ敬遠してしまいがちですが、物件の種類によっては意外と貸しやすいこともありますので考えておきたい選択です。
不動産売却も賃貸もしたくない
マイホームを買ったということは、それなりに理由があったはずです。だからこそ子育てやその後の生活などを考えると、貸したり売ったりすることは考えられないこともあるでしょう。そのようなときには、単身赴任が妥当な解決策になると思います。
また、突然の転勤では戸惑うかもしれませんが、あくまで仕事を中心に物件を決めるのではなく生活を基準にマイホームを購入するという考え方もあります。お互いの実家との距離や、治安、教育環境、自治体などを基準に家を決めて、子どもの出産やのタイミングに引っ越すというパターンです。
*住み替えのタイミングについては「住み替えタイミングの代表格、出産や進学についてのお役立ち情報」で詳しくまとめているので、ご参照ください。
単身赴任ということは、引き続き不動産を保有することになります。例えば住宅ローン控除を受けている場合、適用の範囲内なのかどうか気になることと思います。
配偶者や扶養家族、生計を同一にする親族が引き続き住んでいるなら、控除は引き続き適用されます。この後紹介する賃貸・売却の場合は適用されなくなるので、単身赴任のメリットだといえます。
しかし赴任先が海外のとき、12月31日時点で日本の居住でなければ適用から外れてしまうので、気をつけなくてはいけません。
転勤後の売却・賃貸はどうやって決めたら良い?
さて新築物件と転勤に伴う売却・賃貸はどのように決めたら良いのでしょうか。これは買った家がマンションなのか戸建てなのかによって違いがあります。
家の売りやすさ・貸しやすさ
売りやすさや貸しやすさの面では、マンションに軍配があがります。
やはり戸建てはオーダメイドの感が強い物件です。マンションのように画一的で比較的交通の便もいい物件種別の方が、売却にも賃貸にも向いているといえます。
家の管理コスト
マンションには管理費、修繕積立金など戸建てにはないコストがかかります。賃貸に出した時、金額によっては収支が赤字になることもありえるので気をつけなくてはいけません。
いずれにしても、買い手・借り手がつかなければ資金面は厳しくなりますので、よく特徴を理解しておくと良いでしょう。
購入物件へ入居前に転勤が決まったら
まれに、不動産の売買契約が住んだ後に転勤が決まってしまうというケースもあります。まだ住んでもいないのに、キャンセルできないものなのでしょうか。
家の購入自体をキャンセルする
不動産の売買契約を交わした段階で手付金を支払っていると思います。
売買代金の受領前であれば、これを放棄することで契約を破棄することができます。
*手付金については「手付金は現金払い?頭金との違いや支払いの上限まで詳しく解説!」で詳しくまとめているので、ご参照ください。
しかし手付金を10%支払っているなら、3,000万円の物件なら300万円ものお金を放棄することになります。不動産を売却した場合や賃貸にした場合と、きちんと比較して判断した方がいいかもしれません。
不動産売却では新築ならば有利?
新築の定義は、“新しく建設されていること” と “入居がないこと”です。これらを満たした家が新築になります。少しでも住んでしまうと新築とは呼ばず、築浅の中古物件という扱いになります。
新築と中古の価格差ですが、特にマンションは新築プレミアムと呼ばれるものがつくので、大きな価格差が生じます。入居前に転勤が決まった場合は、不動産会社に相談してみるといいでしょう。